フェルミのパラドックスとは、イタリアの物理学者フェルミが提起した、宇宙には無数の星があり地球外文明が存在する可能性が高いにもかかわらず、地球外知的生命(宇宙人)と人類が接触してないのはなぜかというパラドックスのこと。
背景
1950年、イタリアの物理学者フェルミが昼食中同僚に、宇宙人はどこにいるのか問いかけた(フェルミのパラドックス)。1960年、地球外知的生命探査(SETI)計画が始まった。SETIには、宇宙へ発信するアクティブSETIと宇宙から受信するパッシブSETIがある。
アクティブSETI
1972-73年にNASAが打ち上げたパイオニア探査機の金属板、1974年にプエルトリコのアレシボ天文台が発信したアレシボメッセージ、1977年にNASAが打ち上げたボイジャー探査機のゴールデンレコード等がある。
パッシブSETI
1977年にアメリカのビッグイヤー電波望遠鏡が受信したWow!シグナル等がある。これは、地球外文明が発した電波信号の可能性が指摘されている。
ドレイクの方程式
1961年、アメリカの天文学者ドレイクが、人類と接触できるほど高度な地球外文明の数を推定する方程式を考案した(ドレイクの方程式)。各変数は専門家の見解によって異なる。
ドレイクの方程式は、N=R*×fp×ne×fl×fi×fc×L(銀河系の高度な地球外文明の数=1年に誕生する恒星の数×恒星が惑星を持つ確率×生命の生存に適した惑星の数×生命が発生する確率×知的生命になる確率×高度な文明を持つ確率×高度な文明の持続年数)で表される。
以下にフェルミのパラドックスの回答例を示す。
宇宙人は存在し接触している
陰謀論
宇宙人との接触を国家が隠蔽しているという説。 UFOと結び付けて語られる。
古代宇宙飛行士説
古代の地球に宇宙人が飛来し文明を授けたとする説。世界の神話や遺跡に宇宙人の存在を匂わせるものが存在する。
ハンガリー人宇宙人説
ハンガリー人は宇宙人(火星人)という説。ハンガリー出身の科学者に優秀な人物が多いことから生まれたジョーク。
パンスペルミア説
人類の先祖(微生物)が隕石等によって宇宙から飛来したという説。宇宙人が意図的に地球に生命の種をまいたとする考えもある。
宇宙人は存在するが接触していない
動物園仮説
宇宙人によって地球が保護区に指定されているという説。高度な文明が地球の文明に影響を与えないように干渉してこないと考える。
プラネタリウム仮説
宇宙人によって地球や太陽系がスクリーンのようなもので覆われているという説。
シミュレーション仮説
我々は宇宙人によって作られたシミュレーションの世界にいるという説。
地球より高度な文明がない
地球文明が一番発展しているという説。確率的に宇宙で一番人口の多い星に生まれる可能性が高いため、我々が地球に生まれたということは地球文明が一番繁栄していると考える説。
コストがかかる
星間飛行は非常にコストがかかるため行われていないという説。
伝わらない
地球と宇宙人のコミュニケーション方法が異なるため接触できていないという説。
届いていない
互いの文明に距離があるため、まだ通信が届いていないという説。
重力の強い惑星にいる
強い重力の惑星(スーパーアース)にいるため、宇宙に進出できていないという説。
海中にいる
海中にいるため宇宙に進出できていないという説。
宇宙を知らない
惑星の厚い大気や複数の太陽の影響で、宇宙を認識できていないという説。
休眠している
活動に適した温度まで宇宙が冷えるまで活動を停止しているという説。
興味がない
太陽系に興味がないという説。
自滅している
一定の発展を遂げた文明は、何らかの障害(The Great Filter)にぶつかり滅んでいるという説。 文明の発展は戦争や資源の枯渇、環境汚染、人工知能の暴走等を引き起こし自滅を招くため、文明が接触するレベルに達しないと考える。
破壊者がいる
一定の発展を遂げた文明は、より高い文明を持つ宇宙人によって滅ぼされているという説。資源は有限のため、乱獲によって枯渇する可能性がある(コモンズの悲劇)。そのため、一定の発展を遂げた文明はライバルを嫌う他者に滅ぼされると考える。
避けている
他文明との接触を危険と判断して避けているという説。
コンピュータの世界にいる
自ら作ったコンピュータ上の仮想世界にいるという説。仮想世界は理想の世界のため、わざわざ現実世界で活動することはないと考える。
宇宙人は存在しない
レアアース仮説
地球における生命の誕生と知的生命(人類)への進化は稀な現象という説。太陽との距離、安定した軌道、磁場の存在、木星による隕石の吸収、地軸の傾き、月による潮汐、大量絶滅からの生還等の奇跡的な条件の重なりは地球でしか起きていないと考える。
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