トランプ旋風とは、2016年アメリカ大統領選挙において、泡沫候補と見られていた実業家のトランプが下馬評をくつがえし第45代大統領となった出来事のこと。
概要
2016年、アメリカ大統領選挙で政権奪還を目指す共和党は、主要立候補者が17人と乱立した。当初、公職未経験で過激な発言を繰り返すトランプは泡沫候補と見られたが、メディアによるバッシングをものともせず共和党公認候補となり大統領に当選した。
アメリカ大統領選挙の仕組み
大統領選挙は、政党ごとに有権者が予備選挙または党員集会で、特定の候補者に投票する代議員を選び、代議員が全国党大会で政党の公認候補を選ぶ。その後本選挙で、有権者が特定の公認候補に投票する大統領選挙人を選び、大統領選挙人が大統領を選ぶ。
予備選挙(プライマリー)
予備選挙とは、本選挙の前に政党内の候補者を一人に絞るための選挙のこと。有権者は無記名投票で候補者を選び、得票数に応じて各候補者に投票する代議員数が決まる。代議員数の選出方法には、比例配分方式と勝者総取り方式があり、州によって異なる。
たとえば、ある州の代議員の定員が10人だった時、比例配分方式では得票の6割を集めた候補者なら6人、4割なら4人という具合に、その候補者に投票する代議員数が割り当てられる。勝者総取り方式では、1番得票の多い候補者が代議員10人を獲得する。
また投票の方式も州によって異なり、所属政党を登録した有権者のみが参加できるclosed方式と、すべての有権者が参加できるopen方式がある。
党員集会(コーカス)
党員集会とは、本選挙の前に政党内の候補者を一人に絞るための集会のこと。有権者は、自分が選んだ候補者に投票する代議員を話し合いや公開投票で選ぶ。代議員の選出を予備選挙と党員集会のどちらで行うかは政党や州によって異なる。
党員集会は党員のみが参加できる。
全国党大会
全国党大会とは、政党内で大統領の公認候補を選ぶ大会のこと。予備選挙または党員集会によって選ばれた代議員は、決まった候補者に投票する。この時、党役員や上下両院議員からなる、自分で判断し候補者を決められる特別代議員も投票に参加する。
よほどの接戦でない限りは大会前に決着がつく。
本選挙
本選挙とは、各政党の公認候補同士が大統領の座をかけて争う選挙のこと。一般投票、選挙人投票の順で行われるが、一般投票で候補者が大統領選挙人の過半数を獲得した時点で大統領が実質決まる。また、一般投票はほとんどの州が勝者総取り方式となる。
トランプの主な言動
2015年4月、ヒラリーは夫も満足させられないのに、アメリカを満足させられると思っているのかとTwitterでつぶやいた。夫のビルは過去に不倫スキャンダルを起こしている。
2015年6月、メキシコ人はドラッグや犯罪を持ち込む強姦犯と発言した。以降共和党幹部や大手メディアも敵に回したが、支持率は上がり続けた。
2015年7月21日、共和党指名候補のグラムに対し、昔献金を頼まれたと暴露し乞食かと批判、聴衆の前でグラムの携帯番号を読み上げた。
2015年7月23日、メキシコとの国境に万里の長城を建設し、メキシコに費用を払わせると発言した。
2015年12月、アメリカで起きたイスラム教徒による銃撃事件を受け、イスラム教徒入国禁止を訴えた。
2016年1月、共和党指名候補のクルーズに対し、カナダ生まれのクルーズには大統領になる資格はないと発言した。
2016年3月、共和党指名候補でちびと馬鹿にされていたルビオが、トランプは手が小さいと反論したが、あっちは小さくないから大丈夫と切り返した。
トランプ旋風が起きた理由
従来の政治家への不信感
大企業や富裕層に頭を下げる従来の政治家とは違い、選挙資金を自費でまかない有権者のための政治を掲げたトランプに支持が集まった。
白人労働者階級の支持
偉大なアメリカを取り戻すというスローガンで、移民や失業等の不安を抱える白人労働者階級からの支持が集まった。事実、製造業の多い地域(ラストベルト)のミシガン州、オハイオ州、インディアナ州等で勝利した。ラストベルトは従来民主党の地盤だった。
キリスト教保守派の支持
同姓婚や妊娠中絶の反対を訴えたトランプに、キリスト教保守派からの支持が集まった。事実、キリスト教保守派の多い地域(バイブルベルト)のテネシー州、サウスカロライナ州、オクラホマ州等で勝利した。
国民の代弁者
表には出せないが移民やイスラム教徒の排除等、発言に共感する国民が多く支持が集まった。事実、公開投票の党員集会に弱く、無記名投票の予備選挙に強かった。
不人気なヒラリー
民主党公認候補のヒラリーは健康問題、私用メール問題、ウィキリークス流出問題等を抱え、政界に毒されている、ころころ主張が変わる等のイメージで嫌われていたため、トランプに支持が集まった。
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