買収防衛策とは、M&Aにおいて敵対的買収を防ぐために行う防御手段のこと。
非公開化(ゴーイングプライベート)
自社株買いを行い上場廃止(非公開化)する方法のこと。証券取引所が定めた株主数の基準を下回らせ上場廃止させる。経営陣が行う場合をマネジメントバイアウト(MBO)、従業員が行う場合をエンプロイーバイアウト(EBO)という。
ゴールデンパラシュート
取締役の退職金を高額にする方法のこと。買収成立により取締役が解任されることが多いため、退職金による財務内容の悪化や企業イメージの低下が買収意欲を低下させる。
ティンパラシュート
従業員の退職金を高額にする方法のこと。買収成立により従業員が人員整理ために解雇されることが多いため、退職金による財務内容の悪化が買収意欲を低下させる。
ジューイッシュデンティスト
マスコミ等を利用し買収者のイメージダウンを図る方法のこと。買収資金を信用回復資金に回させる。
ホワイトナイト(白馬の騎士)
友好的な第三者(ホワイトナイト)に株式を買い付けしてもらう方法のこと。買い付け価格の引き上げ等、買収コストの増加が買収意欲を低下させる。2019年、コクヨの買収提案に対し、プラス社がぺんてる株の買い付けを行った。
黄金株
買収に関わる議案についての拒否権を付与した株式(黄金株)を信頼する株主へ発行する方法のこと。1株でも所有していれば買収を阻止できる。日本で黄金株を発行しているのは国際石油開発帝石のみで、経済産業大臣が所有している。
第三者割当増資
特定の第三者へ新株を購入する権利を付与する方法のこと。買収者の持ち株比率を低下させる。2006年、王子製紙の買収提案に対し、北越製紙が三菱商事に第三者割増増資を行った。
ポイズンピル(毒薬条項,ライツプラン)
株主へ市場価格よりも安く新株を購入する権利(新株予約権)を付与しておく方法のこと。発動によって買収者の持株比率を低下させる。2007年、スティールパートナーズの買収提案に対し、ブルドックソースが事後のポイズンピルを行った。
貸株
証券会社へ子会社等の株式を貸し出す(貸株)方法のこと。企業価値の低下が買収意欲を低下させる。2005年、ライブドアの買収提案に対し、ニッポン放送が保有するフジテレビ株をソフトバンクインベストメントに貸し出した。
バックエンドピル
株主がある条件を満たした時に株式を現金や債権等に交換できる権利を付与しておく方法のこと。買収コストの増加が買収意欲を低下させる。
プットオプション
株主や債権者がある条件を満たした時に株や債券を売ることのできる契約を結んでおく方法のこと。たとえば、経営支配権変更時に債権の一括返済を請求できるという契約を結んでおき、財務内容悪化の可能性が買収意欲を低下させる。
チェンジオブコントロール(COC)条項
経営支配権変更時に企業価値を低下させる契約を結んでおく方法のこと。たとえば、パートナーが一方的に契約を解除できる等の契約を結んでおき、企業価値の低下が買収意欲を低下させる。
スーイサイドピル
買収者が一定の株式を取得した時に会社の財務状況を悪化させる契約を結んでおく方法のこと。たとえば、株主が市場価値を上回る額面で株式を社債と交換できる契約を結んでおき、買収意欲を低下させる。
焦土作戦(クラウンジュエル,スコーチドアース)
会社の重要な事業や資産を売却や分社化する方法のこと。企業価値の低下が買収意欲を低下させる。2005年、ライブドアの買収提案に対し、ニッポン放送が保有するポニーキャニオン株の売却をほのめかした。
絶対的多数条項(スーパーマジョリティ)
株主総会での議決要件を厳しくしておく方法のこと。たとえば、取締役の解任を本来の過半数から変更し9割の賛成と定款で定めておき、買収コストの増加が買収意欲を低下させる。
全部取得条項付株式
株主総会の特別決議により普通株式を会社が一方的に買い取ることのできる株式(全部取得条項付株式)に変更する方法のこと。株式を買い取る際に対価として新株を発行し、買収コストの増加が買収意欲を低下させる。
スタッガードボード(期差任期制度)
取締役の改選時期をずらす方法のこと。取締役を一度に解任できないようにし買収意欲を低下させる。
事前警告型防衛策
事前に買収のルールを定め買収者がルールに従わない時の買収防衛策を公表しておく方法のこと。
増配
配当を増やし株価を引き上げる方法のこと。買収コストの増加が買収意欲を低下させる。2003年、スティールパートナーズの買収提案に対し、ソトーが増配を行った。
パックマンディフェンス(逆買収)
買収者に対し逆に買収を仕掛ける方法のこと。
労働組合の反対
労働組合が反対を表明する方法のこと。2008年、日本電産の買収提案に対し東洋電機製造の労働組合が断固反対した。
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