文化依存症候群とは、特定の地域や民族にのみ起こる文化と深いつながりを持つ精神疾患のこと。
文化結合症候群ともいう。
概要
文化依存症候群は地域特有の伝説や宗教、価値観等の文化が疾患と結びつくもので、地域特有の気候や地理がもたらす疾患(風土病)とは分けて考えられる。風土病の場合、原因が寄生虫や菌等明確だが文化依存症候群は不明なものも多い。
また、新しい文化の流入によりその地域特有の価値観が失われ発症しなくなる場合と、反対に文化が共有され世界に広まる場合(拒食症等)がある。
主な疾患
主な疾患を以下に示す。
対人恐怖症
日本人に見られる他人の視線が気になり不安や緊張に見舞われる精神疾患のこと。引きこもりに発展する場合もある。失敗に厳しい恥の文化が原因という説がある。
イム
日本のアイヌに見られる驚いた時、意識を失ったり相手の指示と反対のことを行う精神疾患のこと。中年以上の女性に多くトッコニ(蛇)という言葉を聞いただけで発症することもある。抑圧された女性のストレスが原因という説がある。
パリ症候群
日本人に見られるパリで暮らすことによりうつになる精神疾患のこと。若い女性に多い。思い描いたパリとイメージが異なることや、慣れない海外でのストレスが原因という説がある。
火病
韓国人に見られる食欲不振、不眠、頭痛、パニック等に見舞われる精神疾患のこと。中年女性に多い。女性の地位が低い社会で怒りの感情を抑圧してきたストレスが原因という説がある。
寒冷恐怖症
中国人に見られる周囲の気温に関係なく体を温めようとする精神疾患のこと。中国の思想陰陽では体を冷やすことは生命力を失うことと信じられている。具体的な原因は不明。
コロ
中国や東南アジアで見られる自分の性器が縮小または無くなったと思い込む精神疾患のこと。集団ヒステリーになる場合が多い。その都度異なるが、地域に伝わる魔術やうわさ話による思い込み、マスターベーションや売春による罪悪感等が原因という説がある。
アモック
東南アジアで見られる無差別に人を殺傷しようとする精神疾患のこと。殺されて終わる場合が多い。本人にとって辛い出来事があった後に発症することからストレスが原因と見られ、自殺をタブーとする文化圏で間接的に自殺するために起こるという説がある。
ラタ
マレーシアやインドネシアで見られる驚いた時、汚言を発したり周囲の人のしぐさや言葉を模倣したりどんな指示にも従う等の精神疾患のこと。中年女性に多い。本人にとって辛い出来事があった後に発症することからストレスが原因という説がある。
ダット
インドで見られる尿に精液が混じっていると思い込み不眠や不安にかられる精神疾患のこと。若い男性に多く、体から精液が失われることで体のバランスが崩れると信じられている。具体的な原因は不明。
ピブロクト
北極のイヌイットに見られる叫びながら走り脱衣したり、自傷行為を行う精神疾患のこと。女性に多く悪霊の仕業と信じられている。日照不足の冬に起きることからビタミンD不足、偏った食生活によるビタミンA中毒、カルシウム不足等が原因という説がある。
ウェンディゴ症候群
カナダ南部やアメリカ北部のインディアンに見られる、ウェンディゴという怪物に取り憑かれたと思い込みうつの症状が現れ、次第に人肉を欲するようになる精神疾患のこと。冬の食料が乏しい時期に起きることから、ビタミン欠乏が原因という説がある。
ルートワーク
アメリカ南部で見られる呪われたと思い込みめまいや吐き気、恐怖や不安にかられる精神疾患のこと。思い込みが原因という説がある。呪いを解く儀式によって治療される。
ススト
中南米で見られる食欲不振、不眠、無気力、下痢等に見舞われる精神疾患のこと。魂を失ったために起こると信じられている。本人にとって辛い出来事があった後に発症することからストレスが原因という説がある。魂を戻す儀式によって治療される。
拒食症
欧米人に見られる体重を気にして極端な食事制限や嘔吐をする精神疾患のこと。女性に多くアジアでも広まっている。やせた女性を称賛する欧米の価値観が原因という説がある。
スタンダール症候群
西欧人に見られるイタリア芸術に触れることでめまいや吐き気に見舞われる精神疾患のこと。 原因は不明でイタリア人やその他の人種には起きない。
脳神経衰弱症
西アフリカに見られる目のかすみ、頭や首の痛み、記憶力・集中力の低下等の精神疾患のこと。若者に多い。西洋的な教育システムに順応できないために生じるストレスが原因という説がある。
グリシシクニス
ニカラグアで見られるめまいや吐き気等の後に怒り狂乱する精神疾患のこと。若い女性に多く悪霊の仕業と信じられている。具体的な原因は不明。悪霊を払う儀式によって治療される。
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