10.19とは、1988年10月19日にダブルヘッダーで行われたプロ野球パリーグ優勝チームが決まるロッテオリオンズ対近鉄バファローズの試合のこと。結果は近鉄の1勝1分で西武の優勝となった。
背景
1988年、パリーグ3連覇中の西武がシーズン序盤から首位を独走していた。一方近鉄は6月に主力選手のデービスが大麻所持で逮捕され、急遽外国人選手の補充が必要となった。そこで仰木監督らは中日の二軍にいたブライアントを獲得した。
近鉄はブライアントの活躍もあり、最大8ゲームあった西武とのゲーム差を0.5まで縮めた。これにより、10月19日ロッテとのダブルヘッダーで近鉄が2連勝すれば逆転優勝することになった。一方ロッテは最下位が確定し対近鉄8連敗中だった。
1988年の日本シリーズは10月22日から始まるため、近鉄は10月19日までに15連戦という過密スケジュールで試合を消化する必要があった。これは、当時ドーム球場がほとんどなく雨天中止が多かったため。
第1試合
川崎球場
近 000 010 021 | 4 投:小野-吉井-阿波野
ロ 200 000 100 | 3 投:小川-牛島
1回裏
1番西村がヒットで出塁すると、3番愛甲の2ランホームランで2点を先制した。
近0-2ロ
5回表
6番鈴木のソロホームランで1点を返した。
近1-2ロ
7回裏
7番古川が四球で出塁すると、8番斉藤が犠打で送り1番西村が四球で出塁、2番佐藤健のタイムリーヒットで1点を追加した。
近1-ロ3
8回表
6番鈴木がヒットで出塁し7番吹石の代打加藤正が四球で出塁、8番山下の代打村上のタイムリーヒットで2点を返し同点とした。
近3-3ロ
9回表
当時のパリーグ規定では、ダブルヘッダー第1試合は延長無しのため、近鉄優勝には絶対に得点が必要だった。5番淡口がヒットで出塁し代走に佐藤を出した際、ロッテは小川に代わってリリーフエース牛島を投入した。
その後6番鈴木ヒットの際に佐藤がホームと3塁に挟まれアウトとなったが、7番加藤正の代打でこの年引退する梨田がタイムリーヒットを打ち1点勝ち越した。
近4-3ロ
9回裏
8番袴田の代打丸山が四球で出塁した際、近鉄は8回から登板している吉井に代わって2日前に完投したエース阿波野を投入した。その後9番水上の代打山本がヒット性の当たりを打ったがランナー丸山がセカンド大石と交錯し守備妨害でアウトとなった。
この判定に有藤監督が抗議したが覆らず、その後2番佐藤健がヒットで出塁し、3番愛甲が四球で出塁、2死満塁となったが守りきり試合終了となった。
第2試合
川崎球場
近 000 001 210 0| 4 投:高柳-吉井-阿波野-加藤哲-木下
ロ 010 000 210 0| 4 投:園川-荘-仁科-関
1回裏
第1試合で4安打の2番佐藤健が死球を受けた。その際なかなか出塁しない佐藤健に対し、仰木監督が謝りもせずに痛いなら代われと発言した。
2回裏
5番マドロックのソロホームランで1点を先制した。
近0-1ロ
6回表
9番真喜志が微妙な判定で三振となるとコーチ陣が主審に詰め寄ったが、すぐに時間が惜しいと引き下がった。その後1番大石がヒットで出塁すると、2番新井が犠打で送り3番ブライアントが四球で出塁、4番オグリビーのタイムリーヒットで同点とした。
近1-1ロ
7回表
7番吹石のソロホームランで1点勝ち越し、さらに9番真喜志のソロホームランで差を広げた。
近3-1ロ
7回裏
6番岡部がソロホームランで1点を返し7番古川がヒットで出塁した際、近鉄は先発の高柳に代わって吉井を投入した。その後8番袴田が犠打で送り、1番西村のタイムリーヒットで同点とした。
近3-3ロ
8回表
3番ブライアントのソロホームランで1点を取った。
近4-3ロ
8回裏
近鉄は吉井に代わって第1試合に続き阿波野を投入した。4番高沢が阿波野の決め球スクリューをとらえ、ソロホームランで再び同点とした。
近4-4ロ
9回表
1番大石がツーベースヒットで出塁し、2番新井が三塁線へ強い当たりを打ったがサード水上のファインプレーに阻まれた。この時朝日放送のアナウンサー安部憲幸が、This is プロ野球という名実況を残している。
9回裏
7番古川と8番袴田が連続ヒットで出塁し、9番水上の打席となった。その際、阿波野の牽制球でランナー古川がアウトになった。この判定に有藤監督が抗議し試合が9分間中断されたが覆らなかった。
10回表
3番ブライアントがピッチャー関のエラーで出塁したが、後続が倒れ無得点となった。
10回裏
近鉄がロッテの攻撃を守りきった。当時のパリーグ規定では、試合開始から4時間経ったイニングで延長打ち切りとなるため、10回で試合終了となり西武の優勝が決まった。
その他
翌1989年は近鉄がリーグ優勝を果たした。2004年、第1戦に先発したロッテの小川が強盗殺人事件を起こした。
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