合成高分子とは?わかりやすく簡単に

化学

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合成高分子とは、人工的に合成した高分子化合物のこと。

高分子とは多数の分子がひも状につながったもの。合成樹脂(プラスチック)や合成繊維、合成ゴム等があり様々な用途で利用される。 対してタンパク質やセルロース、天然ゴム等自然界に存在する高分子を天然高分子という。

ポリ塩化ビニル

1835年、フランスの化学者ルニョーが塩化ビニルを入れたフラスコを置いておいたところ、偶然日光があたり意図せず白い固体(ポリ塩化ビニル)が合成された。

セルロイド

1845年、スイスの化学者シェーンバインが、うっかり硝酸と硫酸をこぼした。それをとっさに妻のエプロン(主成分セルロース)でふき取りストーブで乾かしていたところ、突然発火した。これがきっかけでニトロセルロースを発見した。

1860年代、象牙に代わるビリヤード球の研究をしていたアメリカ人のハイアットが、実験中に指を切り液体絆創膏コロジオン(主成分ニトロセルロース)を塗ろうとした。その時不注意でコロジオンの瓶を倒しその後固まるのを見て、セルロイドの発明に至った。

セルロイドは天然由来の高分子を化学的に処理しているだけのため、合成高分子には含まれず半合成高分子という。発火しやすいため現代では廃れたが、かつて人形や映画のフィルム、セル画(セルロイドのセル)等の材料となった。

レーヨン

1878年、絹に代わる繊維の研究をしていたフランスの化学者シャルドンネが、不注意でコロジオンの瓶を倒した。その後拭き取ろうとした際、高粘性の液体が細い糸を引くのを見てレーヨンの発明に至った。

レーヨンは天然由来の繊維を化学的に処理しているだけのため、合成繊維には含まれず再生繊維という。絹に似た光沢や手触りで衣服の材料となる。

ポリエチレン

1933年、イギリスの化学メーカーICIの研究員が、高圧反応器でエチレンとベンズアルデヒドの実験を行っていたところ、意図せず配管内に白いロウ状物質が合成された。彼らはこれをエチレンの高分子化合物だと考えたが、再現実験はうまくいかなかった。

ある日別の研究員が再現実験を試みた際、容器にガス漏れが見られた。そのためエチレンを補充したが、その際偶然容器内に酸素が混入した。このことで反応がうまく進み、ポリエチレンの合成に成功した。

当時ポリエチレンは高温高圧下でのみ合成可能だった。1953年、ドイツの化学者ツィーグラーがポリエチレンの合成に失敗した。原因は洗浄時に偶然残った汚れ(金属塩)だった。そこから金属塩の研究を進め、常温常圧下での合成を可能にする触媒を発見した。

その後ツィーグラーの触媒はイタリアの化学者ナッタによって改良され、ツィーグラー・ナッタ触媒となった。1963年、ツィーグラーとナッタは新しい触媒を用いた重合法の発見とその研究でノーベル賞を受賞した。レジ袋やポリタンク等の材料となる。

ナイロン

1930年代、アメリカの化学メーカーデュポンの研究員ヒルが、上司カロザースのいない日に試作品の塊を溶かして棒をつけて引っぱり、どこまで伸びるか走り回って遊んでいた。すると伸びた試作品が意図せず頑丈な繊維となり、ナイロンの発明に至った。

名前の由来はNow You Lousy Old Nipponese(古臭い日本製品にはうんざり)、Now You Laugh Old Nippon(古臭い日本を笑え)、NewYorkとLONdon、No Run(伝線しない)、日本の農林省(NOLYN)をひっくり返す、開発者の愛称NYLと社名du pONt等の説がある。

ギターの弦やストッキング等の衣服の材料となる。

ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)

1938年、アメリカの化学メーカーデュポンの研究員プランケットが、冷媒研究のためテトラフルオロエチレンガスを小さなボンベに入れ冷凍保存した。翌朝実験を試みたところボンベ内のガスが出てこず、意図せず白いロウ状物質(テフロン)が合成されていた。

摩擦係数が低く耐熱性に優れるため、フライパンの表面にコーティングされる。

ポリカーボネート

1953年、アメリカの電機メーカーGEの研究員フォックスが、倉庫に目当ての薬品がなかったため、代わりの薬品(ビスフェノールA)を用いて実験を行った。これがポリカーボネートの発明につながった。

衝撃に強く、自動車のライトカバー、カメラのボディ等の材料となる。

導電性高分子

1967年、東京工業大学の韓国人留学生が、ポリアセチレンを合成するため助手の白川英樹からレシピのメモを受け取った。留学生は誤ってツィーグラー・ナッタ触媒の濃度を1000倍にしてしまい、粉末になるはずのポリアセチレンが膜になった。

これが導電性高分子の発見につながった。2000年、白川は導電性高分子の発見と発展でノーベル賞を受賞した。タッチパネル等の材料となる。

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