ペルム紀大絶滅とは?わかりやすく簡単に

事件・事故 生物学

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ペルム紀大絶滅とは、ペルム紀末に起きた地球史上最大の大量絶滅事件のこと。

概要

地球ではオルドビス紀末(O-S境界)、デボン紀末(F-F境界)、ペルム紀末(P-T境界)、三畳紀末(T-J境界)、白亜紀末(K-Pg境界)の計5回大絶滅が起きたとされる(ビッグファイブ)。その中で、約2億5000万年前に起きたペルム紀末の大絶滅は史上最大規模となる。

この事件によって生物種の約90%が絶滅したと考えられている。一般に、種とは交配によって繁殖できる集団をいう。大絶滅の後には、絶滅により空席となった生態的地位(ニッチ)を埋めるように、生き延びた種の子孫が栄える(適応放散)。

たとえば、ペルム紀大絶滅後には恐竜が出現し繁栄した。

原因

ペルム紀大絶滅の原因は明らかになっていない。主な説を以下に示す。これらの説が複合的に起こった可能性もある。

隕石衝突説

巨大隕石の衝突により絶滅したという説。隕石衝突→粉塵が地球を覆う→日射量の減少→寒冷化、植物の光合成停止→二酸化炭素増加→温暖化が起きたと考える。

衝突時のクレーター(ウィルクスランド・クレーター)や、P-T境界の地層(P-T境界層)から地球上では希少金属のため地球外由来とされるイリジウム、衝突時の衝撃により特異な構造を持った石英(衝撃石英)、フラーレンC60等の発見が報告されている。

超新星爆発説(星雲の冬)

超新星爆発により絶滅したという説。超新星爆発→宇宙線(放射線)と宇宙塵が降り注ぐ→宇宙線による雲の増加(スベンスマルク効果)、宇宙塵による日射量の減少→寒冷化が起きたと考える。さらに宇宙線による被ばくが原因とも考えられている。

超新星爆発とは、大質量の恒星がその一生の終わりに起こす大爆発のこと。P-T境界層から地球外由来と推測される同位体比のヘリウムやイリジウムが発見されている。但し、スベンスマルク効果はあくまで仮説で確証はない。

海水準変動説

海面低下により絶滅したという説。海面低下→浅海の生物が死滅→絶滅が連鎖したと考える。P-T境界層には不連続な堆積が多い。これは、海面低下により一時的に地層が地表に露出し浸食されたためと推測されている。

P-T境界は過去5億年で一番海水準が低かったことが報告されている。

有毒ガス放出説

塩水湖の蒸発で発生した有毒ガスにより絶滅したという説。塩水湖が蒸発→塩素ガスが放出→植物が死滅→絶滅が連鎖したと考える。P-T境界前に、フランスの国土と同等の塩水湖(ゼクシュタイン海)が蒸発したことが報告されている。

微生物説

海中に大量発生した微生物により絶滅したという説。メタン菌(メタノサルキナ)が大量発生→メタン放出→温暖化、酸素と結合し酸欠、海の酸性化が起きたと考える。メタンの温室効果は二酸化炭素の20倍とも言われる。

メタノサルキナのゲノム解析により、P-T境界頃に効率的にメタンを合成する能力を獲得したと報告されている。

海洋酸欠説(スーパーアノキシア)

海洋の酸素不足により絶滅したという説。火山噴火→植物が枯れる→土壌が維持できなくなる→陸から海へ土壌が流出→プランクトンが大量発生→海洋酸欠が起きたと考える。

さらに海洋酸欠により酸素のない所を好む(嫌気性)硫酸還元菌が繁殖し硫化水素が放出され、陸上生物やオゾン層に影響を与えたとされる。堆積岩中の有機分子分析により、P-T境界頃に海洋酸欠が起きたことが報告されている。

またP-T境界層で、海中に住み硫化物を利用して光合成を行う嫌気性の緑色硫黄細菌の化石が多く見つかっている。これは、海洋酸欠により緑色硫黄細菌が大量発生したことを示唆する。他にもP-T境界層では酸素が鉄イオンと結合した酸化鉄が少ない。

火山噴火説(プルームの冬)

火山噴火により絶滅したという説。プレートの沈み込み→残骸が核に落下→反動で大規模上昇流(スーパープルーム)発生→火山噴火→二酸化炭素、硫黄発生→温暖化や酸性雨が起きたと考える。現在主流の説。

さらに温暖化は海中のメタンハイドレートを溶かし促進したとされる。地質調査や洪水玄武岩(シベリア・トラップ)の痕跡により、P-T境界頃に200万年続く大規模な火山噴火が起きた可能性が報告されている。

また、質量数12の炭素と質量数13の炭素の比率(炭素同位体比,δ13C)の増加が確認されている。これには、メタンハイドレートの放出が原因とする考えがある。

磁場変動説(統合版プルームの冬)

磁場強度の低下により絶滅したという説。プレートの沈み込み→残骸が外核を冷却→外核の対流が乱れ地磁気低下→宇宙線流入量の増加→雲の増加→日射量の減少→寒冷化、残骸が核に落下→スーパープルーム発生→火山噴火→温暖化や酸性雨が起きたと考える。

堆積岩中の古地磁気測定により、P-T境界前の地磁気強度に変化があったことが報告されている。

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