捕食回避戦略とは、生物が捕食されないために取る戦略のこと。
捕捉回避
夜行性
夜間に活動する習性のこと。
日周鉛直移動
昼を深海、夜を浅海で過ごす習性のこと。
保護色
周囲の環境に溶け込む体色のこと。深海では赤色が見えないため赤い魚が多い。日なた部分(主に背中側)が暗く、日陰部分(主に腹側)が明るい体色をカウンターシェーディングという。光の作用と反対の体色により明暗がぼやけ、立体の認識が曖昧になる。
これを生物発光で行う場合はカウンターイルミネーションという。シマウマのように強いコントラストの体色を分断色という。色で体が分断され輪郭が分かりにくくなる。タコやカメレオンのように保護色を変化させるものを光学迷彩という。
隠蔽擬態
食べられないものに姿かたちが似た形質を持つこと。カレハガは枯葉、ナナフシは木の枝に似る。
多型
同一種内の個体間で異なる形質を持つこと。アオカケスという鳥は、見慣れない形質を持つ昆虫を無視する。つまり少数派が生存に有利に働くことがある。これを負の頻度依存選択という。
希釈効果
群れを形成することで自身が捕食される確立を下げる効果のこと。
捕食者飽和
一定の周期で捕食者の必要以上に大量発生する戦略のこと。13年または17年周期で発生するセミを素数ゼミという。発生周期が素数のため捕食者の発生周期と重なる可能性が低い。一部の植物は凶作と豊作を繰り返す。これをマスティングという。
アピール
威嚇
おどしたりする行為のこと。体を大きく見せたり、武器を見せたり、吠えたりする。カトカラ属の蛾は後翅のみ鮮やかな色(フラッシュカラー)をしている。フラッシュカラーは飛ぶ時に突然現れる。
ストッティング
捕食者発見時に大きくジャンプする行為のこと。ガゼルが有名。捕食者の前でジャンプしても逃げ切れるほど健康だとアピールしているとされる。これをハンディキャップ理論という。
擬攻(モビング)
集団で攻撃するふりをする行為のこと。カラスは群れで猛禽類を追いはらう。
擬傷
傷ついたふりをする行為のこと。コチドリは卵や雛を守るため、翼を痛めたふりをして捕食者の注意を巣からそらす。
疑死
死んだふりをする行為のこと。シシバナヘビは擬死時に悪臭のする分泌液を出す。これは腐敗している肉を演出しているとされる。
警告色
有毒生物に見られる派手な体色のこと。捕食者が有毒生物を襲った際、警告色を学習し同様の生物を襲わなくなる。蜂は黄色と黒の警告色を持つ。
ベイツ型擬態
自身は危険ではないが危険生物に似た形質を持つこと。有毒生物ではないが警告色を持つものがいる。ミミックオクトパスは、捕食者を見分けその天敵の生物に擬態する。
ミューラー型擬態
危険生物同士が似た形質を持つこと。捕食者がある危険生物の特徴を学習すると、似た特徴の生物も襲われなくなる。ドクチョウ亜科に属する蝶は毒を有するが、どれも模様や外観がよく似ている。
強力な有毒生物は襲われた際に捕食者が死ぬため学習されない。そのため、弱い毒を持つ生物に形質が似る。これをメルテンス擬態という。
攻撃
物理防衛
物理的に攻撃をする行為のこと。ヤマアラシは体毛の針で攻撃する。トウヨウミツバチは大勢でスズメバチに覆いかぶさり、蜂球という塊となり蒸し殺す。
化学防衛
化学的に攻撃をする行為のこと。ボンバルディアビートルは体内で化学物質を混合し、100度以上の高温ガスを噴射する。ジバクアリは体の一部を自爆させ、毒液を飛ばす。フルマカモメは粘性のあるオイルを吐き出し、捕食者の羽を不能にする。
ヌタウナギは粘液をえらに詰まらせ窒息させる。
防御
防御システム
防御するための仕組みを持つこと。甲殻類の殻や節足動物の外骨格はクチクラという丈夫な膜で構成されている。亀やアルマジロは甲羅、ウニやハリセンボンは刺で身を守る。
逃走
警戒音
捕食者の接近を仲間に知らせるために発する鳴き声のこと。群れで警戒することで捕食者の発見を早める。ベルベットモンキーは、捕食者の種類によって鳴き声を変える。
交替性転向反応
連続する分岐点に対し左右交互に曲がる習性のこと。ダンゴムシが有名。元の場所から離れやすくなることから、捕食者から逃れるために有効だとされる。
目くらまし
囮や煙幕を用いる行為のこと。イカはうまみ成分のある墨で自分のダミーを作り捕食者の注意をそらす。タコはさらさらした墨で煙幕を形成し、捕食者を撹乱する。
眼状紋
目玉に似た模様を持つこと。蝶や蛾が有名。一部だけでも似ていれば、捕食者を一瞬戸惑わせ逃げるタイミングができるとされる。これをサティロス型擬態という。翅の先の小さな眼状紋は襲われる個所を重要な器官からそらすためとされる。
翅の先に捕食された跡を持つ蝶が多く確認されている。この跡をビークマークという。
自切
自ら足や尾を切り捨てる行為のこと。トカゲの尻尾切りが有名。
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